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大学概要

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学長メッセージ

Message from the President

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平成30年度 入学式 告辞

 本日入学された学部の皆さん、大学院修士課程の皆さん、そして専門職学位課程の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 宮城教育大学は自然豊かな青葉山に在ります。この4月、美しく咲く山桜が優しく新入生を見守り、キャンパスに慣れるころ、まばゆいばかりの新緑の若葉でいっぱいになります。夏の盛り、広瀬川を渡る一陣の風に涼を覚え、色づく秋を経て風花が舞う頃、冬木立の中を狸が駆け抜ける光景に出会うこともしばしばです。情感あふれる豊かな日々を過ごされ、感性を磨かれることを期待します。

 本学は創立50年を越えました。創立間もないころ、皆さんはご存じないかと思いますが、全国で学生紛争の嵐が吹き荒れました。これは大学の過度の管理に学生が反発し、東大を頂点とし燎原の火のごとく全国に広がり、大きな紛争となったものです。学生が講義棟を封鎖し、バリケードを築くなど大変な状態でした。学生は、今こそ社会を変えるのだという強い信念を持ち、大学とひいては国と闘いました。本学も例外ではありません。その鎮圧のため、各大学は警察の機動隊を導入しました。
 この時の学長は林竹二先生という方で、本学史上重要な方であり、哲学者です。林学長は「機動隊をキャンパスに入れるのは教育の破壊である」と言って警察に断り、自らバリケードの中に入り、夜を徹してひざ詰めで学生と議論しました。多くの教員が心配する中、明け方にやっと戻られ「駄目でした。折り合いませんでした。また明日話しに行きます」とおっしゃいました。このように真摯に学生と向き合ったので、他大学では学生が教員に「お前らはそう言うが」と言うのに対し、本学では「先生方はそうおっしゃいますけれども」と言ったという逸話が残っています。「誠実に向き合い、相手を尊重し真摯に議論を重ねる」、学生紛争という厳しい環境下で貫いた在り方こそが、本学の原点であります。その精神は現在も変わらず、宮城教育大学ならではの魅力を形づくっています。
 紛争後、教員と学生の日常的な議論の必要性から全国初の合同研究室を設置し、次々と授業改革、入試改革を断行しました。半世紀が過ぎ、多くの卒業生が教師として活躍し、その子息子女もまた教師を目指し本学に入学するという二世代の歴史です。このことは教師という仕事がいかに魅力的であるかを示しています。子どもの成長著しい大事な時期に直接に接し、教え、育てること、教師自身もまた児童・生徒の問いかけにより深化する、その行き来は他の職業には無い素晴らしいものです。教師の一言が子どもの人生を大きく決定づける一言にもなりうる、そのような場面は珍しいことではなく、皆さんの中にもそういう経験を持つ人がおられることと思います。

 さて、優れた教師になるためには広範で深い知識を土台とした教科専門力はもちろんですが、それだけでなく、児童・生徒理解力、学級経営力、多様さを認める姿勢など様々な資質が要求されます。それは全人格的教育と言えるものであり、多角的な視点と共に一つの事象に対し能動的に考えを進める姿勢が求められます。人は教える時、最もよく学ぶと言います。最近ネット情報だけに頼る学生が散見されるようになりましたが、情報と知識は異なりますので、ネット専一ではなく、文献をそばに置き探求してください。そして懐疑的な姿勢を忘れず、思索を深めることを自分に課してください。
 本学には多岐にわたる専門分野の教員がおり、スペシャリストが揃っていますので、時には他分野の教員と、また他専攻の学生とディスカッションすることを勧めます。所属専攻等を越えての交流は、本学の魅力の一つです。理科専攻の学生が日本文学のゼミに参加したり、社会専攻の学生が特別支援の学生と発達障害について論じあったり、オールラウンドなアプローチが得られ、全人格的教育の一翼を担っています。

 東日本大震災から7年が過ぎました。あなたたちはこの7年をどのように過ごしてきましたか。信じられないほど多くの人生が突然閉ざされ、ご本人のご無念はもちろん、ご遺族は重苦しい悲しみに必死で耐えておられます。私たちはそのことをいつも頭に置き、自分が生きていることの奇跡に思いを致さねばなりません。学校では多くの子どもたちが犠牲になりました。やりたいことがたくさんあり、夢がいっぱいあったのに、何が何だかわからないうちにすべてもぎ取られ、突然閉じられた未来へのゲートは二度と開かれることがありません。この世の最大の不幸は子どもをなくすことだと言います。親御さんの日々は生き地獄とも言えます。教師は子どもたちの命を預かっています。教師の最も重要な使命は子どもたちの命を徹底して守ることであることを肝に銘じ、片時も忘れてはなりません。

 宮城教育大学は、様々なことを学生に一方的に伝える大学ではありません。教職員と学生が共に考え、共に学び、共に悩み、共に進み、共に創造する大学です。先ほど申し上げた学生紛争の時、林学長は学長声明の中でこう言われました。「すべての学生諸君、この出発したばかりの大学を真に創造的に発展させる道を、今というこの時点で探求してほしい。教育の場にふさわしい解決をしよう。それが本学の真に生きる道ではないだろうか」私は同じ言葉を皆さんにお贈りし、告辞といたします。

   
   平成30年4月4日

国立大学法人 宮城教育大学長 村松 隆





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