ここからサイト共通メニューです。

サイト共通メニューをスキップします。
 

大学概要

clear

学長メッセージ

Message from the President

clear

学位記授与式

令和元年度 学位記授与式 餞の言葉

 本日お元気に学位記授与式を迎えられましたことに、心よりの祝意を表します。

 さて、本学で正式には卒業式と言わず学位記授与式とすることには理由があります。今から半世紀前、本学草創期の学長・林竹二先生のご教示によるものです。林先生は、全国初の合同研究室設置をはじめ、多くの改革に着手され、本学独自の強固な基礎を築きました。

 林先生は「本学では卒業という語は使わない。教師は生涯学び続けなければならない」とおっしゃいました。すなわち、大学で必要な単位を揃え免許を取得したのみで「教えることの資格をすべて備えた」と思うのは誤りであり、常に研鑽を積み、より深い自己省察を重ね、生涯努力を重ね、学び続けることを忘れてはならないという意味で、卒業ではないということであります。これは、本学の長い歴史の中で大切にしてきた深い教育理念を端的に表すものです。そして、こうも言われました。「新しく大学を出たばかりの教師が、自分は教師だから教える資格があるのだというような、思い上がった気持ちを持たないようにだけはしておかなければならない」・・・・「多くの教師が、子どもたちひとりひとりに目を向けること無しに、自分の授業の腕前だけを上げようとしている。授業の技術を問題にするよりも前に、教師は『子どもたちの魂の世話』に取り組むべきだ。」厳しい示唆ではありますが、教育の奥深さと限りない重みに思いを致すとき納得できるものであり、またそれゆえ高みに向かって歩み続ける、とてもやりがいのある仕事と言えるのではないでしょうか。

 東日本大震災から9年が過ぎました。みなさんはこの9年を振り返り、どのような思いをお持ちでしょうか。依然として深い悲しみが覆う中、時間の経過により新たな問題が生じてきています。仙台市の小学2年生男子がこう言ったそうです。「地震て怖いの?揺れて面白そう!」・・・これから震災を知らない子どもたちがますます増えていく中で、どう教え育てるのか、すべての教員に課せられた課題であります。そして昨年もこの国は多くの災害に見舞われました。突然閉じる人生、大切な人を失う究極の悲しみ、・・・黒雲のように日本を覆う不幸が後を絶ちません。いつ何が起きるかわからない、どこで命を落とすかわからない・・・そうした不安が現実のものとなり、これまで当たり前と思っていた一日一日が貴重なものと認識され、命の重みを感じずにはいられません。

 さて、教師は本当に魅力的で、深く、やりがいのある仕事であり、時に困難なことがあっても、子どもによって救われることがたくさんあります。私がかつて教授だったころ、研究室に、どんよりとした目をして授業も欠席が多く、まさにぎりぎりで卒業した男子学生がおりました。彼は何とか小学校教師になったのですが、数年後大学に来た時、別人かと思うほど様変わりしていました。目はキラキラと輝き、「子どもたちが本当にかわいいんです!」とまくしたて、まさに水を得た魚のようだったことが忘れられません。人間の可能性とはわからないものです。私は彼を見てからそう確信するようになりました。仕事は人間を作り、本人さえ気付かない可能性を引き出すことがあります。みなさんがそれぞれの道において「自分」を生き、自らが主人公たる人生を笑顔で送ることができるよう、心より祈っています。

 最後に、みなさん一人一人が幸運に恵まれ、宮城教育大学での学びを糧に、どんな状況においても歩みを止めず、たくましく前進し続けていくことを祈念して、餞のことばといたします。

 
   
   令和2年3月25日


国立大学法人 宮城教育大学長 村松 隆



clear
先頭へ戻る