ここからサイト共通メニューです。

サイト共通メニューをスキップします。
 

clear

学長メッセージ

Message from the President

clear

平成20年度宮城教育大学卒業式 式辞

 教育学部・学校教育教員養成課程165名、障害児教育教員養成課程44名、生涯教育総合課程157名、特別支援教育特別専攻科4名、大学院教育学研究科54名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 皆さんは、「百年に一度」と言われる「経済危機」のもとで、「採用取り消し」、「採用停止」など、雇用や生活不安、社会全体の将来に対する漠然とした不安の最中に、また一方で皆さんにとっては、「少子化」の定着による教員採用数の減少が、もう一つ出口を狭くしている中で、国立大学法人宮城教育大学から巣立ちます。
 こうした本学を巡る社会経済の状況が、大学生活を送る現役学生にとっても、そして今、卒業して社会に巣立つ皆さんにも直接の責任がある訳ではありません。本学もまた、こうした社会状況への直接的対応や対策を大学の目的に掲げているわけではありませんし、そのノウハウを講じて来た訳ではありません。
 こうした時期に社会に入る皆さんに、大学として、皆さんが数年間過ごされた宮城教育大学として、次のように申し上げたいと思います。それは、皆さんは、皆さんが宮城教育大学で学んだ事柄、心構え、あるいは40年を超えて蓄積されてきた「宮教大マインド」に自信をもってほしいということであります。それは《教育大学》で学んだことにプライドを持つことである、と言い換えてもいいと思います。
 すなわち、皆さんが、宮城教育大学で学んできたこと、探求してきたことは、どんな社会にも、どんな職業にも通用する、普遍性を持つものであるということです。これは、教師となられた先輩はもちろんですが、公務員になられた方も、民間に就職された方も、数多くの先輩たちが、一様に本学で学んだことの意味を強調されておられ、この青葉山キャンパスを懐かしんでおられることによって証明されていることです。このことを改めて、皆さんに申し上げたいと思います。
 本学は、周知のように、世間から・社会から見れば、「先生を育てる大学」なのです。民間会社に進もうとされた諸君は、就職活動の中で、そうした質問に直面したかもしれませんし、社会に出てからもそういう問いに直面するかもしれません。こういう問いを発する人が軽薄な人間でないとすれば、それは「《教育大学》で何を学んだか答えてください」という、本学に対する、本学で学んだ皆さんに対する真摯な問いであるはずです。
 皆さんは、「先生を育てる大学」で、専門科学を学び、かつ同時に教育にかかわる幅広い知識を学び、自ら探求を続けてきました。言い換えれば、皆さんは、専門の学問とともに、教育という観点に立ち、多様な面から幼児・児童・生徒の成長に関与する理論や実践を積み重ねてきました。身につけた専門的知識を自らに閉じ込めるのではなく、この知識を具体の子供たちを相手にどのように伝え、どのように成長を支え、どのように手助けできるのか、このようなことを、それぞれの専門について学んできました。「?うるは學ぶの半(なかば)たり」という短い言葉が『書経』という書物の中にあります。教えるということは、半ばは自分が学ぶということである。すなわち教育に携わる者は「教える」ことで自分の無知に気づき、さらに深く学ばねばならない、という意味ですが、皆さんはそうした過程で、自らを成長させてきたのです。
 と同時に、この実践が、子供たちが相手である以上、単に知識の伝達のノウハウに止まらず、優れて人格的・人間的なものを必要としていることも学んできたはずです。こうした学問的経験はどこの大学でもできるわけではありません。現実には、このような大学は、極めてまれなのです。本学ではそれが日常的であったのですから、皆さんは気が付かなかったかも知れません。今、そのことの意義を皆さんは自ら納得しておいてもらいたいと思います。
 本学ではまた、大規模大学とは違い、フレンドリーな人間関係が形成されています。学生同士はもちろん、本学教員、つまり皆さんの先生からも、少人数授業を通して、専門に止まらず、親しく人間の行き方に至るまで教示してもらっているはずです。こうした面についてあるメジャー新聞のアンケート調査は、学生生活の「ランキング」において、数百大学の中から本学が「相談する相手がいる」という項目でなんと第1位になっています。
 以上申し上げたように、皆さんは、学生時代には気が付かなくとも、こうしたある意味で濃密な学生時代、人と人の触れ合いの時代を経験してきたのです。皆さんがそれぞれに、培い蓄積してきたものは、学問的にも人間的に今日のように厳しい社会に対峙しても、自信をもって立ち向かうことができるものです。逃げる理由などない、尻込みすることもない、真っ正面から立ち向かっていけるものだと、私は確信しております。
 『論語』のある条に「行くに径(小道)に由らず」というものがあります。「大道」を真っすぐに進むがよい、それはよし回り道に見えても決してそうではない、これに対し、「小道」は近道に見え、魅力を持っていても、やがては行き詰まる、この短文は、こんな意味を持っているのですが、皆さんが、《教育大学》、「先生を育てる大学」で学んだ、経験した学問や事柄は、人の成長に関する、人の行き方に関するまさに「大道」に属するものであって、近道に属するノウハウではありません。《教育大学》で過ごした月日、そこで得たものはまさに「大道」に属するものなのであります。ですから、現実に真っ正面から立ち向かえるのです。頑張ってください。
 最後に、皆さんとともに宮城教育大学の青葉山のこのキャンパスにおいて過ごせたことに対し、巣立つ日にあたってその喜びをともにするとともに、宮城教育大学の教職員を代表して深く感謝し、皆さんすべてが幸せであることを心から祈るものであります。

clear
先頭へ戻る