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学長メッセージ

Message from the President

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平成20年度 宮城教育大学入学式告辞  平成20年4月3日  学長 高橋孝助

 本日、教育学部に入学される379名、特別支援教育特別専攻科に入学される4名、大学院教育学研究科修士課程に入学される36名、同じく教育学研究科専門職学位課程に入学される32名の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 宮城教育大学は、平成19年度から、初等教育教員養成課程、中等教育教員養成課程、特別支援教育教員養成課程の3課程、すなわち教員養成の3課程に編成替えをし、東北唯一の、教員養成に特化した単科大学として再出発しております。この改革に当たっては、専門基礎教育・教養教育を重視し、4年間かけて厚みのある教養と専門的力量、実践的な指導力を身につける、積み重ね学習を可能にする、周到に考えられたカリキュラムを作成し、すでに実施に移しております。宮城教育大学はこういう充実したカリキュラムをもって、皆さんをお迎えする訳です。
 昨今は、みなさんもすでに見聞したり、目撃したりしているように、たとえば、児童生徒の学ぶ意欲の低下、社会性の不足、いじめや不登校など、学校教育をめぐる課題が一層複雑化し多様化しています。また教員に対しては、すべての原因が教員にあるというような一方的な非難や、ごく一部で起きている好ましくない現象があたかもすべてがそうであるとするような評論、仕事がきついのに待遇がそれほどよくない、いわゆる過剰な要求をする「モンスター・ペアレンツ」に苦しめられる教員、等々、巷間流布するイメージも必ずしもよくありません。こうした教員志望の意欲を失わせるような状況、さらにまた、教員養成を目的とする学部、単科大学も数多くありますし、最近は私立大学が初等教育教員養成に参入するなど、教員養成を目的に掲げている数多い大学・学部があります。こうした状況にもかかわらず、皆さんが、宮城教育大学を選択してくれたことに敬意を表し、皆さんの期待に応えねば、と決意を新たにしているところであります。 ところで、今述べた教育をめぐる諸課題は、いずれも現実の一面であり事実であります。そして相互に構造的に関連しています。そしてまた、これらは学校教育の世界に閉じて生じている問題ではありません。21世紀の日本社会、広く言えば人類社会の中で生じている現象です。ですから、我々は、こうした現実から逃れて生活はできませんし、逃れられません。本学の4年間で皆さんが学ぶ学問、そして自ら課題を設定して取り組む研究でもって、これらに立ち向かうのです。大学4年間は、無責任な、ひとごとのような評論をするための学問や研究をするために準備されたものではない、自然科学面からであれ、人文社会科学面からであれ、芸術体育面からであれ、このような21世紀の人類が抱えている課題にアプローチをするために準備されたものであります。入学の時点から忘れずに、勇敢に挑戦してもらいたいと思います。
 本学の活動内容について、もう少し踏み込んでお話ししますと、本学は、教員養成の単科大学でありますから、そのミッションには、教員養成教育とともに、現職教員の研修・再教育等、学校教育の現場との連携協力、本学のもつ知的資源の社会への還元等々があります。これは教員養成単科大学の属性であり、仕事であります。こうした面での本学の実践は、教員・職員の努力により、宮城県・仙台市の教育委員会、気仙沼市・岩沼市・栗原市の教育委員会、そして登米市などと連携協力の提携をし、さまざまな活動をし、実績を積み重ねており、全国的にも注目されています。皆さんは、4年の間、さまざまな活動の場面で、必ず、こうした連携協力の恩恵を受けることになりますが、それは教職員の労苦と先輩たちの誠実な活動、社会からの支援がもたらした贈り物であることを認識し、皆さんが、それを受け取りながら、そのプロセスで、自らもその担い手として成長していってくれることを私たちは願っています。
 さて平成20年度から、本学は、大学院教育学研究科に専門職学位課程高度教職実践専攻を設置しました。これは「教職大学院」と言われているものでありますが、本日は、その第1回の入学生をここに迎えています。本学にとってもちろん記念すべきことですが、我が国の教員養成制度の歴史上、記念すべき入学式となります。
 この「教職大学院」について、少し説明を致します。これまでも現職の教員が大学院で学ぶということはありましたし、昭和53年度から56年にかけては、国立のいわゆる「新教育大学」あるいは「新構想大学(上越・兵庫・鳴門教育大学)」と言われる大学が設置され、「個別学問分野の知識・能力の重視」とともに「実践力・応用力など教職としての高度な専門性」を育成するという現職教育・再教育に筋道がつけられたのでありましたが、平成15年度からは、法曹(法律)、会計などの分野に高度専門職業人の養成に特化した「専門職大学院」制度が創設され、教員養成分野においては、高度専門職業人として教員の養成を目指す「教職大学院」が創設されたのです。全国で19大学、うち国立大学が15大学ですが、本学は、東北では唯一、制度実施初年度から、この大学院を創設することができました。このために、新しく大学外からの教員スタッフも迎え、そして第1期生として専門職学位課程の院生(現職教員28名、学部卒業生4名)をここにお迎えしている訳です。
 今後、専門職学位課程は、本学の既設の修士課程(10専修)とともに、本学教育学研究科の柱として、国立大学法人の教員養成の単科大学たる本学への社会からの・教育界からの付託に応えることになる訳です。開設初年度でありますから、専門職学位課程の院生の皆さんは、制度設計面で多少の不備の点や、ぎこちなさを感じられるかと思われますが、気が付いたら改善・改良するのが、我々教育界で仕事する者の常識でありますから、遠慮のない意見交換をするという作風を確立し、前に進みたいと思っています。
 さらに、平成20年度から試行が始まる「免許証更新講習」についても、実施の拠点大学としての準備が進んでいます。これもまた、国から、社会から教員養成大学たる本学に付託された重要な業務であります。 このように、本学は、教員養成単科大学として、必要十分な条件を整えて、新入生のみなさんをお迎えしているのです。
 ところで、公立学校教員の平成19年度の採用の場合、小学校で91パーセント、中学校で87パーセント、高等学校で77パーセントを学部卒業生が占めています。養成機関別では、国立の教員養成大学・養成系の学部が小学校の約44パーセント、中学校の25パーセント、高等学校の14パーセント、特別支援学校で35パーセントを占めています。義務教育のうち、特に小学校教員の約半数近くを国立の教員養成大学・学部で占めています。しかし、中学校で62パーセント、高等学校では64パーセントが一般大学の卒業生が占めるようになっています。これらの数字は、最近、さまざまな議論を呼び、メディアにもしばしば取り上げられ、国立の教員養成系大学・学部批判の材料の一つとなっている場合があります。教員への就職率は、国立大学法人評価委員会でも取り上げられる重要なデータなのです。
 小・中学校教員の場合、「団塊の世代」の大量退職が平成30年度末まで続き、約40パーセントが退職すると言われています。しかし、他方「少子化」も進行し、学校の統廃合、クラス数の減少などが相次ぎ、退職者数と採用者数は総数において一致しません。また、私立大学が初等教育教員養成に参入するケースが増え、すでに相当な実績をもっていることも先程述べたとおり事実です。教員養成大学・学部の未来は、楽観できるものではないように思われますが、このようなことは、進路指導の先生やご両親などから既に聞いておられることでしょうから、率直に申し上げました。
 宮城教育大学は、今申し上げたように、こうした現実にたいし、40年を越える歴史をもつ国立の教員養成の単科大学として、全国11の国立の教員養成大学と伍して、そのプライドをかけて、優れたカリキュラム、歴史と実績をもって立ち向かい、新しく状況を切り開く、という姿勢で皆さんを迎え入れるものであります。
 宮城教育大学は、附属校園の教員・児童生徒を含めても3000人ほどですから、規模は決して大きくはありません。しかし、卒業生はすでに1万5千人になろうとしています。宮城県内外で教職に就いている同窓生は、8千人を越えています。その他にも、公立学校以外で教育関連の仕事に従事している数多くの同窓生がおられます。そして、これに負けず劣らず、民間、公務員で活躍されている同窓生が、多くおられます。みな、青葉山のキャンパスで汗を流し、附属校園での教育実習で悪戦苦闘するなど、青春の一時期を過ごしました。そして、ここで忘れられない「師」と出会い、生涯の友人を得て、巣立って行きました。宮城教育大学ですごした時期が、教員の道に進もうとしている者ばかりでなく、広く社会のさまざまな分野で活躍する人材を育むものであったし、これからもまさに「21世紀型市民」として活躍してくれることでしょう。
 本日、入学される皆さんは、こうした先輩たち、同窓生の遺されたものの元に立ち、自ら新しく創造の担い手たらんとする、志しを高くもち続けて欲しいと願うものです。無責任な世評にまどわされず、安心して、背筋を真っ直ぐに伸ばして立ち向かってほしいと願うものです。 最後に、全学あげて「ご入学おめでとう」「心から歓迎します」と申し上げて、告辞と致します。

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